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地域企業をつなぐコラボレーションの実現。その裏にあった想いとは?

2022.01.27

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高知県四万十市のベーカリー「カゴノオト」と、高知大学の学生と教員を中心に設立された会社「里人」がコラボし、「シュトーレン・ワインセット」を販売しました

 

ヤマト運輸としての新たな営業の形が垣間見えた、お客さま同士のコラボレーション。このコラボの仲介役としてお客さま同士を結び付けたのは、ヤマト運輸の中国四国地域担当マネージャーである三谷さんでした。

 

どんな考え方で日々お客さまに向き合っているのでしょうか?お話をうかがいました!

 

 

水泳のインストラクターから転身?!SDの対応が胸に刺さり、ヤマト運輸の一員へ

今回、ヤマト運輸としての画期的な取り組みである「カゴノオト」と「里人」のコラボを実現した三谷さん。しかし、ここまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。

 

2015年に中途入社し、SD、副所長を経験したのち、現職となった三谷さん。入社のきっかけは、SDへの憧れだったといいます。

 

「もともとは、水泳のインストラクターをしていました。ある日、自宅に荷物を届けに来てくれたSDの方の対応が素敵で、『自分もこんなふうに配達してみたい!』と思い入社を決めました」

 

パートのSDから始まり、数年後にはマネージ社員登用試験を受けることを決めます。

 

「試験を受けるときに、『社訓に対する考えを書け』という問題がありました。当時何を書いたかは忘れましたが、今書いたらきっと想いがあふれて原稿用紙が足りなくなると思います(笑)

 

社訓の他にも『荷物ではなく想いを届ける』『サービスが先、利益が後』という言葉がすごく心に刺さっています。一つひとつの荷物に気持ちが込められているということは、SD時代も今も、心に留めています」

 

取材中も、常に笑顔で答えてくれた三谷マネージャー

 

利益にこだわらず、お客さまとのつながりを大切に

副所長を経て、現在はマネージャーとして高知県全域を駆け回って営業に励む三谷さん。その仕事のモチベーションは、「地域のために何かしたい」という想いだと語ります。

 

利益どうこうではなく、お客さまと心からつながることそれができれば、お客さまにもヤマトのファンになってもらえます。利益だけを追うのではなく、お客さまにとって何か役に立つことを率先してやっていけば、巡り巡って、いつかはヤマトに戻ってくると思っています」

 

積極的に情報収集をし、少しでも良いなと思ったらすぐにアポを取り、現地に向かう。そんな毎日の繰り返しが、新しいお客さまとのつながりを生んでいきます。

その中でも、新しいお客さまを見つけるためのきっかけとなる「情報収集」には、三谷さん独自の方法がありました。

 

SNS、特にインスタグラムで『いま人気のお店はどこかな』『いまの流行りはなんだろう』とリサーチしています

もともとSNSに興味はなかったのですが、友人にすすめられて登録してみたら、なんだか見るようになって(笑)。ほかにも、地元TV番組、地元新聞、日経新聞、クラウドファンディングをチェックしています。日々の情報収集が、コラボにも大きく影響してきます。

 

商品を購入されたお客さまがどうすればより楽しめるか考えたり、どうすれば”映えるか”を面白おかしく考えたりするための大事なヒントになりますね

 

「想いをつなぐ」ことを心に留めて 多くの失敗を経てついにコラボを実現

実は今回のようなコラボの打診にも何度か挑戦してきた三谷さんですが、そのすべてが成功に結びついたわけではありませんでした。

 

「コラボにはやはり、2者をつなぐ難しさがあります。商品同士の相性が良くても、経営者同士の意見が合わないとコラボはできません。仲を取り持つことが難しく、コラボが失敗してしまったということもありました。人と人のつながりがとても大事だということを痛感しましたね」

 

自身を「お人好しなんです」と語る三谷さん。

いつも「お客さまや地域のためにできることはないかな」と考えて仕事をしているそうです。今回のコラボも、そうした想いで積極的にお客さまにお声がけをするなかで生まれたものでした。

 

 

「カゴノオトさまに営業でお伺いした際に、『JPさんとのお付き合いを大切にしているので…』と、最初は取引をお断りされました。

 

それならばもっと深いお付き合いをしようとお話を続けていると、ふとした会話のなかでカゴノオトさまから『シュトーレンは、本場ドイツではワインとセットでたしなむものなんです』と教えていただきました。

その瞬間、『里人さまのワインとカゴノオトさまのシュトーレンでコラボできるのでは?!』とひらめき、その場で里人さまとのコラボを提案させていただきました」

 

コラボに先駆け、「カゴノオト」と「里人」、そして三谷さんの3者での会合を設けると、「地域に貢献したい」という想いが合致し、すぐに意気投合。その後も何度か3者で話し合いを行うと、「コラボではこんなことをしよう」という案が次々と飛び交うようになり、スムーズに合意までたどり着くことができたといいます。

 

「いろいろ進めていく中で、3者の予定調整や情報共有には少し手間取りましたね。ですが、僕自身が楽しみながらやっていたので、実感としてはそこまで大変ではありませんでした

 

「カゴノオト」と「里人」代表者の記念撮影

コラボ商品であるシュトーレン・ワインのセット 

コラボは大反響!三谷さんが大事にする「お客さま目線」の考え方

さまざまな困難や失敗にぶつかっても、常に前向きな姿勢を貫くことのできる背景には、仕事をとことん楽しむ姿勢がありました。

 

お客さまの事業に携われることが一番のモチベーション。自分の提案が誰かのために形になることが嬉しいですし、お客さまのお困りごとを解決したり、新しい販売方法や取り組みについてお客さまと話しているときが一番ワクワクします。

 

たとえ結果的に失敗したとしても、さまざまなお客さまと話すことはとても勉強になるし、自分をレベルアップさせるための糧になると思っています」

 

三谷さんが橋渡し役となって実現した「カゴノオト」のシュトーレンと「里人」のワインのコラボは、テレビで取り上げられるほどの反響を呼びました。

 

「カゴノオト」と「里人」両社にとっても、地域の皆さんに自社を知ってもらえる良いきっかけになったといいます。また、「カゴノオト」はもともとヤマトとの取引がない企業でしたが、今回のコラボを通じて、今後取引が広がっていく予定です。

 

▼テレビにてインタビューを受ける「里人」さまと三谷さん

三谷さんが入社してからこれまで、一貫して意識しているのが「お客さまの立場になって考え、行動すること」。コラボへの注力を始めた理由の一つも、両社にメリットがあるからということでした。

 

「人との出会いの中では、相手を否定しないようにしています。ヤマト運輸が運ぶべきは想いです。とにかく断らないこと、何かしてあげたいと思うこと、お客さまに寄り添って『どうすればできるようになるか』を一緒に考えてあげることが大切だと思います。

 

お客さまの経営に一歩入り込んで携わることができれば、こんなに素晴らしいことはないと思います」

 

大それたことはしなくても、

「お客さまの立場になって考える」

「想いを運んでいるという意識を持つ」

「お客さまや地域とのつながりを大事にする」

そうした意識を持ち続けていれば、自ずと結果はついてくることを体現する三谷さん。

 

「きれいごとだと思われるかもしれませんが、こうした想いは日頃から心掛けています。私ひとりで荷物を運ぶことはできないですから、SDや作業の方、内勤の方など社員の皆さんに共感していただき、同じ気持ちでお客さまに荷物を届けたいです

 

ヤマト運輸が荷物を届けることで、皆さんが今よりもっと幸せに生きられる世界を作ることが目標です。最終的には世界平和につながったら嬉しいですね(笑)」

 

 

お客さまからのコメント

「里人」さま

三谷さんが店舗に足をお運びくださり、私たち学生のペースに合わせて密にコミュニケーションをとってくださったことがコラボを決めた大きな理由です。

 

カゴノオトさんとの顔合わせから、配送作業まで多くのことをサポートいただき、成功させることができました。里人を多くの人に知ってもらえるきっかけとなり、とてもありがたかったです。

 

「カゴノオト」さま

事前にカゴノオトのことを知ってくださり、三谷さんがわざわざ何度も足を運んで一緒にやりませんかと声をかけてくださいました(店舗や出張販売にもいらしてくださいました)。頑張ってやっていらっしゃる学生さんとのコラボは、私たちにとっても勉強になり楽しそうだと思いました

 

また、今回だけで終わらず今後もヤマトさんと何かご一緒できそうだと思えたこともきっかけの一つです。三谷さんの熱い思いのおかげです。

 

 

 

 

 

 

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