個性を尊重しながら成長をサポート【三河主管支店】

”誰一人取り残さない”社会の実現を目指す取り組みの一つとして、各主管支店の人事担当者を中心に障がい者雇用の推進と誰もが働きやすい職場づくりを進めています。

今回は、数年前までこれらに積極的に取り組めていなかった、中部ゲートウェイベースにて、障がい者雇用を推進したいという想いを持った岸さんがマネージャーに着任し、職場の社員と協力して採用から支援を行っている様子を紹介します。

現場では、社員の協力により、障がいのある社員が個性を生かして活躍できる環境ができてきました。現在では、障がいのある社員が計８名勤務しています。

【今回お話をお聞きした皆さん】

発送作業OPマネージャー
岸 知恵実さん

2020年障がい者雇用推進担当者に。2021年にマネージャーとなり、2022年に牧嵜さんを障がい者雇用推進担当者に任命。

障がい者雇用推進者
牧嵜 香織さん

事務
芝辻 昌信さん

入社年：2022年
仕事内容：データ入力・電話対応・受付対応など、ベースの事務全般
障がい種別：身体障がい

作業
杉浦 頼嘉さん

入社年：2022年
仕事内容：作業場の清掃・仕分け用ダンボール箱の運搬や札貼り・ボックスやダンボールの中身の確認など
障がい種別：知的障がい

障がい者雇用のノウハウを収集

岸さんが障がい者雇用推進者として取り組みを始めた2020年ごろ、障がい者雇用のノウハウはほぼ0の状態でした。そこで、まずは連日ハローワークに通い、応募してくれた支援センターと繋がりを作ることから始めました。

牧嵜さんは、障がい者雇用推進者になってまだ1年ほど。知識や経験が全くなかったため、支援センターに話を聞きに行ったり、セミナーを受講したり、障がい者雇用推進者の資格の勉強をしたりしながら、情報収集に励みました。

個々の特性に合った配置を考える

支援センターやハローワークへ継続的に足を運ぶなかで、ヤマト運輸への入社を希望する方も出てきました。

入社いただく際は、個々の特性に合った現場に配属することを重視しています。

「仕分け」や「事務」など職種を分けて募集してはいますが、入社希望者には、最初の3日間ほどでさまざまな仕事を経験してもらいます。そして、岸さん・牧嵜さんが本人や施設の担当者とコミュニケーションを取りながら、正式な配属先を決定します。

芝辻さんは、通っていた特別支援学校の紹介で入社しました。身体の病気のためデスクワークの仕事を探しており、実習を経て昨年4月に入社。実習では、仕分け札作り（ガムテープを貼っておき、現場で使用しやすくする作業）、使用済み社内便封筒の整理・宛名紙の貼付け、ボウズ登録、落伝整理、除菌作業等を実施しました。現在は、他の事務担当の社員と同じように多岐にわたる事務作業を担当しています。

杉浦さんは、支援センターの紹介で昨年2月に入社。最初は日替わりで社員が付き添い、ダンボール箱に札を貼る作業などを一緒に行いました。現在は、主に杉浦さんの同僚社員の田中さんとともに、発送用のダンボール箱に札を貼る作業に加え、箱の中にものが残っていないかのチェックなどを担当しています。

作業（杉浦さんの同僚）
田中 美智子さん

仕事を通じて高まる積極性やコミュニケーションを支援

芝辻さんは、入社当初は指示された業務をこなすだけで精一杯でした。

慣れてくると、手が空いたときは他にできる仕事がないか尋ね、自分から電話対応や受付対応などの新しい業務にチャレンジするなど、業務の幅が広がっていきました。

杉浦さんは、入社から1〜2ヶ月ほど経つと「1人でやります」と自ら手をあげて、「他のこともやりたいです」「次は何をやったらいいですか？」と尋ねてくれるようになり、徐々に業務量を増やしました。

本人たちのペースを尊重しながら、取り組んでいる業務に余裕がでてきたときや本人の仕事への意欲が見えたときに、新しい業務を任せるなどすることで、本人たちが力を発揮できるように支援しています。　

定期的に支援センターの方と面談をしたり、本人たちに悩みがある際には、岸さん・牧嵜さんや田中さんが相談に乗るなどして解決をサポートしています。

芝辻さんも杉浦さんも、入社当初に比べて活発にコミュニケーションがとれるように。業務中・休憩中問わず、上長や同僚社員に話しかけるなど、ムードメーカー的存在です。

職場環境を改善し続ける

中部ゲートウェイベースの構内は広く、3フロアにまたがり、常に多くの機械やボックスが動いています。障がいのある社員に安心して働いてもらうには、安全面のサポートが欠かせません。

現在は、杉浦さんには主に田中さんが付き添い、サポートしています。田中さんが休みの日には、誰かが杉浦さんと一緒に作業できるようにしています。

それでも、新たな入社希望者の実習時には、特に安全確保が課題です。障がいのある社員へのサポートを社員任せにせず、組織全体でサポートできる仕組みを構築することを目指しています。

一人ひとりの個性を尊重し、誰もが働きやすい職場に

今後の目標について、岸さん、牧嵜さんは「障がいの有無ではなく、得意・不得意といったその人の個性を大事にしたいです。『この社員はこれが得意だから、任せよう』と考え、障がいのある社員もない社員も、全員が同じ目線で働けるのが理想の環境です。このように考えて実践してくれる仲間を増やし、体制を整え、より多くの障がいのある方を受け入れられるようにしていきたいです。」と語ってくれました。