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「フォローアップ面談」と「柔軟な対応」で障がいのある社員の活躍をサポート【東松山主管支店】

2024.03.20

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“誰一人取り残さない”社会の実現を目指して、各主管支店の人事・総務担当を中心に障がい者雇用の推進と誰もが活躍できる職場づくりを推進しています。

 

今回紹介する東松山主管支店では、採用実績のない特別支援学校を訪問して会社の説明をする障がいのある社員に対して定期的なフォローアップ面談を実施するなどの取り組みを行っています。人事・総務担当の犬竹さんと綾見さんにお話を聞きました。

 

人事・総務担当 マネージャー
犬竹 美代さん

障がい者雇用推進者
綾見 房枝さん

 

採用の工夫:採用実績のない特別支援学校を訪問

東松山主管支店は障がいのある方の採用拡大に向けて、2023年度はこれまで採用実績のなかった特別支援学校への訪問に力を入れました。

自治体の障がい者就業・生活支援センターに問い合わせ、企業向け見学会や学校公開の日時を教えてもらい、各学校のホームページを確認して電話をしました。ホームページに進路指導担当の先生の名前が書かれている場合は、その方と話すとスムーズでした。人事・総務担当が見学会などの日程に参加できない場合は、別日に個別訪問させてもらえないか相談をしました。

 

見学会や学校公開では、学校概要の説明を受けたり授業を見学したりするほか、人事・総務担当が先生方にヤマト運輸の仕事や職場環境について説明をしました。北関東統括では、営業所の所在地一覧や障がいのある社員の声などを掲載したパンフレットを作成し、会社紹介に活用しています。

 

先生方と対話する中で、先生方の多くに「ヤマト運輸の仕事は力仕事」「女子生徒や運動が得意でない生徒は、ヤマト運輸で働くのは難しそう」という先入観があることが分かりました。そこで人事・総務担当は、ヤマト運輸には事務も含めたさまざまな職種があり、障がいのある社員も男女問わず活躍していることや、入社後のバックアップ体制があることなどを説明しました。

 

「先生方の具体的な懸念点や不安を聞き、それを解消しながら会社をアピールできるのが、学校訪問の良いところだと思います。複数の企業が参加する見学会などのイベントよりも、個別に訪問する方が、先生方とじっくり話すことができて有意義だと感じました」と綾見さんは話します。

 

2023年度に計6校の特別支援学校を訪問し、主管支店管下のほぼ全ての特別支援学校との接点ができました。訪問先の先生が、翌月に営業所の見学に来てくれたことも。2024年度以降は、訪問した特別支援学校からの職場実習の受け入れ・採用の拡大を目指します。

 

定着の取り組み①:障がいのある社員のフォローアップ面談を実施

東松山主管支店では、障がいのある社員の定着に向けた取り組みも実施しています。人事・総務担当が3カ月ごとに「フォローアップ面談」を行い、本人や同僚社員の困りごとをヒアリングしています。

 

人事・総務担当が障がいのある社員の上長に連絡し、日時を調整。上長から本人に「〇日の〇時に人事・総務担当が来ます」と伝えてもらいます。そうすることで、障がいのある社員は相談したいことがあれば事前に整理し、心の準備をすることができます。

 

面談では、「体調に問題ありませんか?」「仕事内容や勤務日数、時間は適切ですか?」といった質問をし、障がいのある社員が勤務環境を負担に感じていないか確認します。面談後は同僚にも話を聞き、本人が気づいていないところに困りごとや問題がないかを確認します。

 

フォローアップ面談を始める以前は、東松山主管支店では身体や精神面の不調で入社後1年以内に辞めてしまう社員が多くいました。犬竹さんは、「働く意欲にあふれ、頑張り過ぎて体調を崩してしまうケースが多いです。本人の気づかないうちに、身体や心に負担がかかっていることもあります。上司や同僚、人事・総務担当がこまめに様子を確認し、『体調はどうですか』『無理はしないでくださいね』などと声をかけてあげることが大切です」と話します。

 

フォローアップ面談を通じて、人事・総務担当が障がいのある社員の困りごとを聞き出す手助けをすることで、各営業所では、障がいのある社員が困りごとを相談しやすい雰囲気や、一人で抱え込まない風土が醸成されてきました。また、同僚の社員は人事・総務担当に困りごとを聞いてもらったりアドバイスをもらったりすることで視野が広がり、積極的に手助けできるようになるなどの効果が出ています。

 

定着の取り組み②:最初の契約や配属に捉われず、勤務形態を柔軟に変更

東松山主管支店では、障がいのある社員の勤務形態や職場を固定せず、必要に応じて柔軟に変更しています。

 

例えば、当初営業所で働いていた身体に障がいのあるAさんは、勤務場所を再検討する必要が生じたため、まず主管支店の営業担当に異動し、施設関連の業務を始めました。施設の業務はイレギュラー対応がメインで定型業務がなかったことと、本人に新たな業務を習得してもらう狙いから、主管支店内の業務を検討して営業担当(品質)に異動。現在、Aさんはお客さまからの日時変更や集荷依頼の要望データをSDの端末に送信する業務を担当し、活躍しています。

 

聴覚障がいのあるBさんは、もともと営業所での求人に応募されました。しかし、営業所での採用が難しいと判断し、人事・総務担当が障がい者就業・生活支援センターの担当者と相談しながら配属先を検討しました。その結果、事務管理センターでスキャナー室の作業を任せることになりました。スキャナー室で働き始めたBさんは、その手早い仕事ぶりが評価され、業務に取り組む真面目な姿勢が同僚社員にも波及しています。

 

ほかにも、フォローアップ面談で「働く時間を変更したい」といった相談を受けた場合などに、人事・総務担当が上長と連携して勤務形態を柔軟に変更しています。本人の希望や体調、適性などを考慮しながら、最初の契約や配属に捉われず柔軟に勤務形態を変更することが、障がいのある社員の働きやすさや活躍につながっています。

地域への取り組み:障がい者施設で安全教室を実施

東松山主管支店の取り組みは社内に留まりません。2023年度には初めて、地域の障がい者施設で安全教室を開催しました

 

障がい者施設での安全教室の様子

きっかけは、埼玉県坂戸市の障がい者施設(作業所)のスタッフの方からの問い合わせでした。お子さんが通う保育園で行われたヤマト運輸の安全教室を見て、「自分が働く障がい者施設でも、安全教室を実施してもらえないか。利用者に自転車の乗り方を指導してもらいたい」と坂戸営業所にご連絡いただきました。問い合わせを受けた坂戸営業所の吉田所長が、「障がい者施設で安全教室を行う場合は、何に気をつけたらいいか」と犬竹さんに相談。犬竹さんにとっても初めてのことだったので、安全指導長と共に地域の警察署に相談に行きました。警察署から過去に障がい者施設で実施した安全教室の内容を教えてもらうなどして、当日に向けて準備。昨年4月に無事に開催することができました。

 

障がい者施設のスタッフの方からは、「ヤマト運輸の安全教室では着ぐるみや車両が登場するので、障がいのある方の記憶に残りやすい後日、安全について注意喚起する際に『ネコちゃんが〇〇に気を付けようと言っていたよね』と、安全教室のことを引き合いにだしながら説明すると伝わりやすかった。ぜひ定期的に開催してほしい」との声をいただきました。3月23日に第2回を開催し、今後も継続して開催する予定です。

 

坂戸営業所

所長
吉田 雅人さん

 

「障がい者施設で安全教室を開催するのは初めてでした。最初は『うまくいくだろうか』『どこまで理解しているかな』と不安でしたが、参加者の皆さんが私たちの説明を真剣に聞いている姿や、安全教室が終わった後の晴れやかな表情を見て、手探りでやってみてよかったと感じました」

 

安全・コンプライアンス担当

安全指導長
澁谷 猛さん

 

「『自転車の乗り方』を安全教室で教えるのも、障がい者施設の方を対象に開催するのも初めての試みでした。せっかくなので、自転車の『ながら運転』を実演するなど、分かりやすく伝える工夫をしました。安全に関する〇×クイズに集中して参加してくれたり、ヤマトの車両に乗車する際や、クロネコ・シロネコとハイタッチをする際のうれしそうな様子が印象的でした」

埼玉児玉営業所
安全指導員

高岡 将大さん

 

「坂戸営業所が障がい者施設での安全教室を開催した後、エリア内の障がい者施設(デイケアセンター)でも開催することになり、私が担当しました。参加者の皆さんが実演などをとても真剣に見てくれて、いつもより緊張しました。障がいのある方が自転車に乗る際に困るポイントを知ることができ、SDとしても勉強になりましたので、今後も開催する際には多くのSDに参加してほしいです!」

 

今後の展望

 

綾見さん

担当者だけではできることが限られるので、マネージャーが障がい者雇用の取り組みに積極的なことがとてもありがたいです。今後もヤマト運輸の仕事や職場環境を広く発信し、障がいのある方の就労の可能性を広げたいです。

犬竹さん

今後は、営業所の所長や社員が新しく入社した障がいのある社員を指導できるよう、教育の仕組みづくりを進めたいです。また、各職場に配置されている障がい者雇用推進者を交えたミーティングを定期的に開催して、それぞれの悩みを共有・解決できるようにすることも継続し、埼玉県内の他の主管支店との連携も進めていきます。

 

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