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仕事内容を明確に 誰もが働きやすい仕組みづくり【愛知主管支店】

2023.07.25

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”誰一人取り残さない”社会の実現を目指す取り組みの一つとして、各主管支店の人事担当者を中心に障がい者雇用の推進と誰もが働きやすい職場づくりを進めています。

今回は、これまでベースを中心に障がいのある方の採用を進めていましたが、2020年ごろから、ベースだけでなく営業所でも障がいのある社員の採用を行っている愛知主管支店の取り組みについて紹介します。

 

 

【今回お話をお聞きした皆さん】

愛知主管支店 人事・総務担当

障がい者雇用推進者

田巻 芳恵さん

ハローワークや特別支援学校、養護学校とのやりとりなどを担当。障害のある社員の業務やステップアップに寄り添い、フォローしている。

守山小幡営業所 所長
伊藤 勝也さん

 

【クローズアップ社員】

守山小幡営業所 作業
内川 雄貴さん

入社年:2022年
仕事内容:仕分け・ボックス整理・表示札の準備・冷凍冷蔵ボックスの温度入力・事務所内の清掃など
障がい種別:知的障がい

課題が多かった営業所での雇用

愛知主管支店の近隣の特別支援学校には、ベースでの就労を希望してくださる方が多く、年に1名程度を採用してきました。その一方で、営業所を希望する方はほとんどいませんでした。営業所にどんな仕事があるのかが見えづらかったことが背景にありました

一方ヤマト運輸側では、営業所で採用できたとしても、継続的に就労してもらうにはいくつも課題がありました。

場所の関係上、障がいのある社員への対応が所長任せになってしまいがちで、うまくサポートできる同僚がいなかったり、同僚の言動が原因で障がいのある社員が辞めてしまうケースも。所長は異動が多いこともあり、営業所での雇用は、本人にとっても会社にとっても課題がありました。

 

営業所での雇用に向けて

内川さんは、養護学校を通じてヤマト運輸での就労に応募されました。その当時、ベースには20名ほど障がいのある社員が働いており、勤務地との距離や、サポート体制を考えると、ベースではなく営業所で働いてもらいたいと考えました。

そこで、田巻さんが内川さんや養護学校の先生に、営業所の業務について丁寧に説明。営業所で勤務することを了承していただきました。そして、「前向きに取り組んでくれそうな営業所長や、サポートしてくれそうな同僚社員がいて、全体的に余裕を持って受け入れができる」と守山小幡営業所を勤務先に選びました。

 

内川さんが入社してから半年ほど経ちました。所長と田巻さんのフォローによって、問題なく勤務を続け、持ち前の明るさと真面目さで営業所に馴染んでいます

 

内川さんは非常に一生懸命な性格で、過去には学校の実習で無理をしすぎて倒れてしまったことがあったそうです。内川さんが年末繁忙期を乗り越えられるか、田巻さんや所長は心配していましたが、内川さんは人手不足の際にも自分なりに工夫して仕事をやりきることができました

 

また、頼まれた仕事を断れず、抱えすぎてしまったこともありました。現在は同僚社員と活発にコミュニケーションを取ることで、無理することなく元気に勤務しています。

 

この間に所長が異動してしまいましたが、所長以外の同僚社員ともしっかりコミュニケーションがとれていること、田巻さんから新しい営業所長へのサポートもあり、変わらず勤務できています。今では、同僚からも頼りにされる存在です

 

伊藤所長より

丁寧に仕事に取り組む内川さんですが、仕事の頼み方や最終確認を曖昧にしてしまうことで、ミスにつながってしまうことがあります。そこで、私は仕事の頼み方を勉強したり、田巻さんに教わったりして、万全なフォローができるように工夫しています。


やることがなく、手持ち無沙汰になってしまうと辛いと思うんです。内川さんの手が空いたときには、「次はこれやってみようか」と一緒に考え、きちんと仕事をお願いできる体制を作っていきたいです。今後内川さんには、今の業務をこなすだけではなく、PPの操作など新しい業務に積極的にチャレンジし、ゆくゆくは後輩に教えられるようになってほしいです。

 

同僚 加藤 彩実さんより

早口で指示をすると伝わらないことがあるので、丁寧に確認します。それ以外は、一緒に仕事をしていて、特別に気を遣うことはほぼないです。失敗してしまった時も、どやし合ったり(笑)。優しく素直で真面目で、息子のような存在です。

個々の特性に合わせた、誰もが働きやすい仕組みづくりを

障がいのある人もない人も、入社した時は誰もが0からのスタートです。しかし、「現在のヤマト運輸の仕事は事務も仕分けも配達も複雑。一人の社員に「あれもこれも」とお願いしてしまう状態になっている」と田巻さんは言います。

 

「この現状を改善するためには、それぞれの業務を分解して、個人の特性に沿って業務を分担することが求められますこれを実現するには、現場社員への教育や、業務量の調整なども必要です」。

 

 

「また、募集の際には、仕事内容を明確にし、その他の勤務体系は個々に合わせて調整すれば、応募のハードルが下がります。例えば『障がいのある方は昼間の勤務がいいはず』という思い込みを捨てて、さまざまな勤務時間帯を設定したところ、応募者が増えました。内川さんも、今年の5月からは勤務時間を1時間延ばし、14時半〜19時半で勤務しています

 

障がいのある方に入社してもらうだけではなく、長く働き続けてもらうことが大事。これからも継続して勤務してもらえるように、支援を続けていきます。

 

今後の課題は、サポートできる同僚社員を増やすこと。営業所長など上司だけでなく、ベースも含め、障がいのある社員をサポートができる同僚社員がいることで、障がいのある社員に長く働いてもらえる環境づくりができると考えています。」

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