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社風や業務内容を事前に伝えることで採用・定着を推進【青森主管支店】

2023.12.20

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”誰一人取り残さない”社会の実現を目指して、各主管支店の人事・総務担当を中心に障がい者雇用の推進と誰もが活躍できる職場づくりを進めています

 

今回紹介するのは青森主管支店です。従来、障がいのある社員の採用はベースのある青森市がほとんどでしたが、弘前市と八戸市の営業所でも採用を進め、現在は計41名が働いています(2023年11月時点)。人事・総務担当の三上さんと小倉さん、青森ベースの林さんに、採用の工夫やベースでの職場づくりについて聞きました

 

採用の工夫①:勉強会などに参加し、社風を伝える

人事・総務担当 マネージャー
三上 寿之さん

人事・総務担当 障がい者雇用推進者
小倉 尚武さん

採用エリアを広げ、勉強会に参加

以前は、青森主管支店が見学や職場実習の依頼を受けるのは青森市内の特別支援学校のみで、件数も多くありませんでした。三上さんと小倉さんは障がいのある方の採用機会を広げようと、弘前市と八戸市をターゲットに加え、市の障がい者支援センターが主催する企業向けの勉強会などに参加し始めました

 

勉強会には、市内の企業に加えて特別支援学校の先生やハローワークの担当者なども参加します。参加企業が自社の取り組みを発表する場面があり、ヤマト運輸を知ってもらうことができる絶好の機会です。

 

小倉昌男氏の思いを伝える

三上さんと小倉さんは、ヤマト運輸の障がい者雇用や職場実習の受け入れ状況などに加え、小倉昌男さんの思いや取り組みを伝えることを大切にしています。小倉昌男さんが障がいのある方々の自立と社会参加を支援したいと考えてヤマト福祉財団を立ち上げたことや、ヤマト福祉財団で行っている障がい者施設の運営者に経営のアドバイスをするパワーアップフォーラム、またスワンの事業についても紹介しています

 

このような話をすることで、障がいのある方々と積極的に向き合ってきたヤマトの企業風土が伝わる」と三上さんは話します。特別支援学校の先生や支援機関の担当者にヤマト運輸の姿勢や社風が伝わり、「障がい者が安心して働ける会社だ」と感じてもらえれば、在校生や利用者を積極的に紹介してもらえるようになります。

 

三上さんと小倉さんが勉強会などのイベントでヤマト運輸を地道に紹介したことで、これまで接点のなかった特別支援学校からも見学や職場実習を依頼されるようになりました。また、就職を控えた高校3年生だけでなく、高校1、2年生の実習も依頼されるようになりました。

 

採用の工夫②:見学・職場実習では業務内容を詳しく説明

特別支援学校の生徒さんが見学や実習のために職場を訪れた際には、さまざまな業務を詳しく説明しています。例えば青森べ―スでは、ベルトコンベアの起点に荷物を置いていく仕事、仕分けられた荷物をボックスに積み込む仕事などがあり、林さんは新入社員に教えるのと同じように一つひとつ説明します。

 

生徒さんは入社前から実際の業務を知り、体験することで、引率の先生に適性を見てもらうことができるほか、入社後に「こんな仕事だと思わなかった」とギャップを感じることを防げます

 

引率の先生方に業務内容の理解を深めてもらえることも、大きな利点です。先生方は、ベースの業務内容を詳しく把握されると、「これなら、○年生の○○さんに合いそうだな。次回は○○さんを実習に誘ってみよう」などと想像して、適性がありそうな生徒さんを紹介してくれるようになりました

 

このような工夫の結果、青森ベースでは毎年1〜3名を採用することができ、定着率も向上しています。

 

職場づくりの工夫:担当者だけでなく、チームでより良い職場づくり

障がいのある社員が働きやすい環境をつくるためには、職場全体でのサポート体制や雰囲気づくりが大切です。青森ベースの事例をご紹介します。

 

青森ベース 障がい者雇用推進者
林 丈夫さん

担当者が抱え込まず、周りの力を借りる

 

林さんは7〜8年前から、青森ベースで働く障がいのある社員のサポートを担当しています。就任当初は、障がいのある社員向けの勉強会を開催するなどさまざまな取り組みを試行錯誤で進めていましたが、ある時、「行き詰まり」を感じました。障がいのある社員の相談に乗ったり施策を実施したりしながら、自身の業務を進める必要があり、林さん一人では対応しきれなくなったのです

 

林さんが悩んでいると、その様子に気づいたのか、同僚の社員も障がいのある社員に声を掛けるようになりました。その人は林さんに代わって彼らをフォローしてくれるようになり、その流れは自然と周囲に広まりました。障がいのある社員を手助けする社員が増え、自然とチーム全体でサポートする体制ができあがりました

 

林さんは当時を振り返り、「私は、同僚は障がいのある社員と働くことに抵抗があるだろうと思っていました。自分一人で障がいのある社員をケアしないといけないと思い、背負い込んでいました。ですが、実際には協力的な人がたくさんいました。皆さん、ずっと静かに様子を見ながら、自分ができることや機会があれば手を差し伸べようとしていたのだと思います」と語ります。

 

障がい者雇用推進者や障がい者職業生活相談員に任命された社員は、「私が一人で頑張らないと」と考え、背負い込んでしまうかもしれません。林さんが体験したように、職場のメンバーの力を少しずつ借りて、チームで障がいのある社員をサポートするという方法を試してみてはいかがでしょうか

 

 

イベントを通じた交流

 

青森主管支店では、イベントを通じた社員同士の交流も大事にしています

「クローズアップ社員!」で紹介する青森ベースの奥崎さんが10月に「特別全国障がい者スポーツ大会」の水泳競技に青森県代表として参加した際には、ベースのメンバーが壮行会を開催。労働組合青森支部の新聞でも取り上げ、主管支店全体で応援しました。

 

また、ヤマトグループ親交会(※)にも、多くの社員が参加して交流を深めています。写真は、2018年に青森主管支店が東北地域で優勝して全国大会に出場し、「ベストチーム賞」を受賞したときのものです。

 

※障がいの有無に関わらず社員同士がスポーツをすることで、コミュニケーション、相互理解を促進するイベント。例年、ボウリング大会を開催。地域で予選をし、優勝チームが全国大会に出場。

 

 

 

 

クローズアップ社員!
青森ベースで活躍する2名を紹介します。

佐々木 瞭太さん
2017年入社
障がい種別:知的障がい

「わからないことを質問したら、皆さん優しく答えてくれます。入社してから今までで一番うれしかったのは、2018年にボウリング大会(親交会の地域予選)で優勝したこと。今後は、やったことのない仕事にもチャレンジしたいです」

奥崎 琉斗さん
2018年入社
障がい種別:知的障がい

「ベルトコンベアに荷物を置く際に、空きができないように気をつけています。最近うれしかったことは、整理整頓ができていると褒められたことです。特別全国障がい者スポーツ大会では、皆さんの声援のおかげで力を出し切れました」

ベースでの作業の様子(左:佐々木さん、右:奥崎さん)

今後の展望

 

三上さん

障がいのある社員の皆さんが、毎日本当に真面目に仕事をして青森主管支店を支えてくれています。採用数は増えてきたので、今後は入社後のさらなる定着率の向上に取り組みたいです。

小倉さん

障がい者雇用はこれまで林さんと私の2人で長年担当してきました。今後は後進を育成しながら、引き続き誰もが安心して明るく働ける職場づくりを推進します。

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