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【社長メッセージ】社会の公器

2024.01.29

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1月1日に発生した能登半島地震により被災された社員とご家族の皆さま、ならびに関係者の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。また、支援活動をお手伝いいただいている社員の皆さんに感謝を申し上げます。

 

企業は社会の公器、という言葉がある。自社の事業だけを考えて経営するのではなく、社会の中での自社の位置づけを認識し、果たすべき役割を担うことが求められる。当社の事業は社会に根差して展開しているので、事業自体が社会から求められているという自覚を持って行うべきであるし、事業を通して生じる環境への悪影響、例えば温室効果ガスの削減に取り組むことも社会の一員としての役割である。多くの人が働く企業であるからこそ、フェアな労働環境の実現に向けて取り組むことも事業を通した当社の役割である。

 

より広い視野で社会を見ると、さまざまな課題が見えてくる。かつて小倉昌男氏は障がい者の自立と社会参加を支援したいと考え、1993年にヤマト福祉財団を設立した。ヤマト福祉財団の基礎財源は小倉昌男氏が寄付された個人資産(当社株式)と、その志に賛同していただいた賛助会員としての社員の皆さんおよび法人会員からの寄付、労働組合からのカンパによる寄付、会社の利益からの寄付であり、現在も活動を行っている。障がい者の自立に向けて顕著な活動をされた方々を表彰する「小倉昌男賞」の選考、授与はヤマト福祉財団の大きな取り組みであり、本年度も昨年末にお二方が受賞され、その活動内容を表彰し発信した。

 

ヤマト福祉財団設立の5年後、株式会社スワンが設立された。「焼きたてのおいしいパン」という付加価値の高い商品を作り販売する場を設け、その場で障がい者の就労機会を創出しようという取り組みである。スワンが運営するスワンベーカリーというお店は、現在直営で5店、フランチャイズで20店が全国で営業しており、300名以上の障がい者の方々が就労できる機会を創出している。「アンデルセン」や「リトルマーメイド」ブランドの店舗展開をされているタカキベーカリー社に技術指導を受け、おいしさと障がい者が就労可能なオペレーションを両立している。そのスワンの商品の一つに、毎年社員の皆さんに案内しているクリスマスケーキがある。

 

日々社員の皆さんからの意見や苦情申し立てに目を通しているが、ケーキを無理やり買わされたという内容が入ることがある。スワンの事業を通して障がい者の自立を支援したい、という思いを押し付けるつもりはないし、前述したような歴史や思いを理解できていなければ尚更である。会社が社員の皆さんに対して理解促進を図りきれていないという問題もあるが、ご自身が属する会社が何を考え、どんな歴史を持って現在に至っているのかを知る努力も必要である。それを理解してもらえれば、無理やり購入を求める必要はない。一般のお店でケーキを購入する機会があるのなら、選択肢の一つとしてスワンの存在も認識してもらえれば幸いである。ヤマトとして取り組んでいるヤマト福祉財団の活動やスワンの事業の目的についても、皆さんに関心を持ってもらえればうれしいし、そうなるように努力したいと思う。

 

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日本生産性本部主催の「経営アカデミー大会2023」にて講演 (2023年12月 都内)

 

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社長メッセージ「創意工夫」では、毎月、長尾社長から社員の皆さまへのメッセージをお伝えします。

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