【社長メッセージ】目的へのアプローチ
2023.11.28
私がまだ大学生だった頃、所属していた経営学のゼミの課題にコンピューター・プログラミングが設定されていた。学校にはまだ白黒の小さな画面のパソコンしか設置されておらず、手引書を読みながら訳の分からないプログラミング言語を入力することは、まさに苦痛でしかなかったことを思い出す。今にして思えば、プログラミングを学ぶことを通して得られる思考力や表現力を身につけさせることが、ゼミ担当教授の目的だったのだろうが、当時の私には残念ながら拒否感の方が強かったように記憶している。
その後Windowsが生まれ、Windows95の発売により普及したことで、コンピューターは一気に私たちに近い存在となった。それとともにインターネットへの接続サービスが始まり、回線のスピードが徐々に高速化することで一般化し、まさにインターネット革命と言われる社会の情報化が加速していった。インターネットの存在はスマートフォンの登場と普及、通信の超高速化によってさらに巨大化し、既存の産業やビジネスモデルを瞬く間に過去へ追いやろうとしている。
それらの革命的な変化をさらに上回る動きとして、昨今のChatGPTに代表される生成AI(※)の出現により、AIが私たちにとって一気に身近な存在になり始めている。これは「AI技術の民主化」と表現され、インターネットを超える革新になるであろうと言われている。当社でもChatGPTを業務に利用できるようにし始めたが、「活用」にはまだまだ程遠いように思われる。それはプログラミングを学べと指導されたものの、その指導の本質を理解できなかったかつての私と同じなのかもしれない。
本年7月に、当社は先進的な地理情報システムの導入、活用によって社会の変革に貢献した団体に贈られる「SAG賞」を受賞した。直接的には、当社のデジタルオペレーションチームが開発した営業所での稼働設計を支援する「エリアマネジメントシステム」に対しての表彰であったが、その構築の基礎にあるのは集配に用いる自動ルート組み機能の開発である。業務量と連動した稼働設計を行えるシステムを作りたいとの思いから、その構築に必要な知識や経験を持った専門家に入社してもらい、2018年にチームを立ち上げた。現場を知る中堅・若手社員とタッグを組み、現場に出向いてセールスドライバーの皆さんの助手席に乗せてもらいながらヒアリングを重ね、SDの皆さんの業務を支援できるものを生み出すことを目的に、自動ルート組み機能の構築を行っていったのである。さまざまな意見を反映しながら修正を重ねたこの仕組みが、「エリアマネジメントシステム」の開発の基礎となっており、その活動が評価されたことは非常にうれしい限りである。業務量のデータを基に最適な稼働設計を行えるようにすることで働き方を変え、お客さまへの良いサービスの提供につなげたい。その目的の実現に、何を使って近づくのか。デジタルオペレーションチームの取り組みは正しいアプローチであるように思う。
課題は機会。当社の課題を解決し、どんな姿を創り出すか。AIは目的ではなく、実現に近づくための道具である。反面、道具をよく知らないと使いこなせないのも事実である。
※AIは、人工知能のこと。生成AIは、画像や文章などの多様なコンテンツを作成できる人工知能の一種。
※PDFデータは社内用のパソコンからのみ開けます。

JAPAN MOBILITY SHOW 2023にて、
本田技研工業 三部敏宏社長と
(2023年10月 都内)
社長メッセージ「創意工夫」では、毎月、長尾社長から社員の皆さまへのメッセージをお伝えします。
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