親子ネコに込められた思いとは?ネコマークの歴史
2021.08.23
子猫をくわえた親猫でおなじみのネコマーク。当時、広報·宣伝を担当していた社員がお子さんの描いたネコの絵をヒントにデザインされたと語られてきましたが、100周年を数年後に控えた2015年にその絵の原画とその裏に描かれたもう一つの絵の存在が確認されました。
今回は、ネコマーク誕生の物語から最新のネコマークに込められた想いまで、ネコマークの歴史をお伝えします。
子猫をくわえた親猫に、運輸業者としての大切な心構えを見た
ネコマーク誕生のきっかけは、1957年のこと。アメリカのトラック長距離輸送会社アライド・ヴァン・ラインズ社を訪問した創業者の小倉康臣は、親子猫をモチーフとしたマスコットマークを偶然目にしました。「丁寧な荷扱い」の意味を込めてデザインされた、親猫が子猫の一番ケガをしない首を優しくくわえて運ぶ姿に共感した小倉康臣は、ヤマト運輸でもマークとして活用したいとアライド・ヴァン・ラインズ社に申し出たそうです。
業務提携したアメリカの運送会社のマーク
デザインの生みの親は、俳人としても活躍
親子猫のモチーフの使用について承諾を得るとすぐに、ヤマト運輸オリジナルのマーク制作がスタートしました。その中心人物はヤマト運輸で広報の仕事を担当していた清水武氏でした。社内報の編集者であった清水氏はカメラの名手でもあり、表紙の写真を撮影するために同じ場所に数日出向いてシャッターチャンスを待っていたこともあったそうです。
そんな清水氏は、会社の手帳やポスター、カレンダーなど幅広い分野で功績を残してきた一方で、俳人としても優れた才能を発揮、「斎藤砂上」の俳号で数多くの俳句を残した芸術的な一面も持っていました。
ひらめきをくれた愛娘の落書き
マークは時に企業の顔となりサービスのイメージを伝える役割を持ちます。
多くの人に親しまれ、愛着を持ってもらえるデザインとはどんなものか?
清水氏は頭を悩ませたそうです。
そんな時、ふと目に飛び込んできたのが、当時6歳だったお子さんが描いたネコの絵でした。画用紙にクレヨンで描かれたネコの姿に着想を得て、1957年6月にネコマークが誕生しました。小倉康臣の訪米からわずか数か月で完成したネコマークは、さまざまな場面で活用されていきます。
トラックやセールスドライバーのユニフォームなどにあしらわれたネコマークは、たくさんのお客さまや社会から愛されるマークへと成長。宅急便の発売後にはお客さまに「クロネコヤマトの宅急便」として親しまれるようになり、1985年には準社章となりました。
倉庫の段ボールに眠っていた貴重な資料
清水氏とお子さんの絵のエビソードは知っていても、その絵を実際に見たという人は社内でもほとんどいませんでした。しかし、2015年2月、社内倉庫の古い段ボール箱の中からネコが描かれた画用紙が見つかったことで、マークにまつわる新たな発見がありました。
ネコの絵は見つかった画用紙の表裏に描かれており、ー方は親猫の足元に2匹のネコが寄り添った絵。もうー方が新たに確認された面で、親猫の口元に黄色いクレヨンで一匹の子猫が描き添えられていました。よく見るとネコマークのように親猫が子猫をくわえているようにも見えます。アイデアがなかなか閃かなかった清水氏は、この絵を参考にしながら発想を広げていったのかもしれません。58年越しにわかった絵の存在は、貴重な発見でした。ネコマークはこの先もヤマトグループのシンボルマークとして長く愛され続けることでしょう。
清水武氏のご長女有田 みどりさん(旧姓 清水)に特別インタビュー(2016年10月)
-今回発見された絵を見たご感想は?
実は自分では絵を描いたことをあまり覚えていないのですが、実家で親子の猫を飼っていました。父親は黒猫で白猫の母親が白黒ブチの子猫をくわえているのをよく見ていたので、その様子を絵に描いたのでしょうね。ちなみに子猫の名前は「クロ」でした。
-ネコマークについてお父さまから聞いたことは?
黄金比率を考慮して一番良い形の楕円形に。色の黄色と黒は目立つための工夫であることは聞きました。私の絵を参考にしたことも、なんとなく言っていましたね。
-ネコマークを街で見かけたときはどんなお気持ちでしたか?
結婚して東京を離れた時は、まだ誰も知っている人がいない中で、ネコマークを見るとうれしかったです。
-ネコマークが無くならない限り、清水さんの記憶も無くならないと思います。
父が亡くなって今年で50年。ずっとマークを使い続けていただけるのは、ありがたいことです。富士山の麓(ふもと)で眠る父もきっと喜んでいると思います。
“次の運び方をつくる”意思表示としてのネコマーク
2021年4月1日より、みなさまに親しんでいただいているマークが少し変わりました。
大切な子猫をくわえて運ぶクロネコの姿は変わりません。信頼をいただいていくために積み重ねてきたサービスを、これからもよりていねいに、より洗練させ、前進していきます。
さらに詳しい内容に興味がある方は、『ヤマトグループ100年史』をご覧ください!
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