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【沖縄ヤマト運輸】現場主導で改善を推進!お客さま満足をあげる人事教育制度とは

2024.01.29

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お客さまからの評価を知ることができるNPS調査。

沖縄ヤマト運輸では、毎年NPS調査をもとにお客さまとの向き合い方を振り返り、改善に向けた取り組みを継続的に行っています

 

そこで中心的な役割を担うのが、ゲストアテンダント(以下、GA)と呼ばれる社員です。

沖縄ヤマトでは2020年よりGOPの上位役職としてGAを新設し、その中でも資格試験を突破した社員を「営業所の顧客接点の最高責任者」として位置づけています。

GAが営業所の所長とGOPをつなぐリーダーとして改善を進めるため、取り組みが成果につながりやすいそうです。

 

今回はGAによる改善活動やSDの対応力研修など、冊子では掲載しきれなかった取り組みの詳細をご紹介します!

 

赤嶺社長からのメッセージ

 

赤嶺社長の動画の中でお話があった沖縄独自のサービスガイド

 

この人にお伺いしました!

沖縄ヤマト運輸
人事総務部

部長
池間 広光さん

沖縄ヤマト運輸
人事戦略課

マネージャー
宮城涼香(みやぎすずか)さん

 

沖縄ヤマト運輸
サービスセンター

サービスセンター長
上地晴美(うえちはるみ)さん

沖縄ヤマト運輸
営業推進課

マネージャー
稲嶺幸子(いなみねさちこ)さん
★GA制度 第1期生

沖縄ヤマト運輸
人事戦略課
主任
池田日向子(いけだひなこ)さん

 

NPS調査結果をもとに、サービスを改善!

沖縄ヤマトでは、毎年NPS調査の結果をもとにお客さまの困りごとや現場の課題を分析し、サービスの改善を行っています

 

2022年度は、グループ全社の平均を大きく下回っている項目があったため、改善に向けてさまざまな取り組みを行いました。

発送については、「スムーズに梱包することができた」の項目が低かったことをうけ、NPS調査の結果が発表されてすぐに全営業所で梱包スペースを見直しました。

一方受取については、「受取に使用したロッカー(PUDO)や窓口は快適だったか」という項目の評価は高いものの、全体のポイントは全社平均の1/10以下となっていました。この結果を受け「PUDOや窓口に至るまでに、お客さまを長くお待たせしてしまっているのではないか」と仮説を立て、全営業所でお受け取りの導線を見直しました。

 

こうした各営業所でのサービス改善をGA(ゲストアテンダント)が主導しています。

 

所長とGOPをつなぎ、お客さま対応品質向上を進めるリーダー「GA」

GA(ゲストアテンダント)制度は、2020年から始まった制度です。沖縄ヤマトでは、会社の定めた試験を突破したGOPをGAという「営業所の顧客接点の最高責任者」に位置づけることで、GAがGOPのリーダーとなりお客さま対応の品質向上を推進する体制を作っています

 

GAの主な役割は、①フルデジタルの推進責任者(クロネコメンバーズやクロネコビジネスメンバーズなどの推進)②「顧客接点強化の責任者(荷受や梱包のクレーム削減)③営業所運営への参画(事務業務の効率化など)の三つ。各営業所のGAは、営業・品質・人事それぞれの面で定期的に勉強会や情報共有を行い、チームでPDCAを回しながら改善活動を行っています。7期生まで存在し、現在65名がGAとして活躍しています。

 

現場経験をもとにGAが課題の解決策を考える

GAは所長と現場のGOPをつなぐ重要な存在。GAがGOPをとりまとめ、現場での改善活動を推進し、所長がSDを含めた営業所全体の運営を取り仕切ることで、営業所の改善がスムーズに進みます。

 

NPS調査の結果を元に改善活動を行う際にも、GAが活躍しています。以前は、所長を対象とした品質改善ミーティングを実施し、所長を中心にトップダウンで改善活動を進めていました。しかし、改善の目的などが所長からGOPへうまく伝わらないために、対策が徹底されず、荷物事故やクレームがなかなか減らない状況にありました。

そこで2022年度からは、GAを対象とした品質改善ミーティングを同時開催することにしました。所長はサービスレベル不良やクール便の温度管理、誤配・放置の撲滅など、SDに関わる改善を主導。GAは荷受対応や梱包の改善による荷物事故の未然防止、クレーム削減、応対品質向上といった事務に関わる改善活動を推進するという役割分担を行い、継続的に品質改善を進めています。

 

月に一回行われるGAの品質改善ミーティングでは、GAは数名でグループに分かれ、改善活動の成果報告を行います。その後、各グループのチームリーダーを中心に、持ち寄った営業所が抱える課題について、解決策をディスカッション。「スーツケースの破損を防ぐ梱包方法」や「マンゴーの荷受時の対応Q&A」など、荷物事故を防ぐ工夫をマニュアル化し、水平展開しています

 

▲チームリーダーを中心に課題の解決策を検討。

▲どんな梱包方法が一番いいかを決めるために、コンテスト形式で梱包テクニックを競うことも。

▲【クリックして拡大できます】 県外への贈り物やお土産に人気のマンゴー。通常は追熟のために常温保存することが多いのですが、常温で送ると輸送中にマンゴーが傷んでしまうこともしばしば。こうした荷物事故の多いお荷物は、荷受時の対応や梱包方法をマニュアルにまとめ、水平展開しています。

GAを通じて荷物事故を防ぐ梱包方法が各営業所に共有されたことで、2023年度5月はゴルフバックやスーツケースの荷物事故の件数が昨年の1/4にまで減少。応対品質も上がり、お客さまから「非常に丁寧に対応していただき、感謝の気持ちでいっぱいです」とお褒めの声が届きました。

こうした成功体験は、改善活動のモチベーション向上にもつながります。品質改善ミーティングで定期的に成果報告を行うことにより、成果が見えてモチベーションが上がり、継続的な改善サイクルをつくることができています。

▲【クリックして拡大できます】

 

「もっと活躍の幅を広げたい」GOPのキャリアパスに

GA制度はもともと、「キャリアアップして、活躍の幅を広げたい!」というGOPの声をもとにうまれた制度です。従業員の働きがい向上を目指して、赤嶺社長肝入りのプロジェクトとして始まりました。

 

GA認定を受けるには、サービス接遇検定2級と運行管理者(貨物)を取得したうえで、社内試験を突破し、社長面接を通過する必要があります。人事では研修や、模擬試験の実施・添削を行っていますが、決して簡単な試験ではありません。しかし、「キャリアアップのチャンスだ!」と前向きに挑戦するGOPが多く、自主的に勉強会を開催するなど、GA認定に挑むGOPが一体となって試験に取り組んでいます。その結果、1期生の運行管理者試験の合格率は70%越えという、一般的な平均合格率の約2倍にも登りました

今後は「GAからさらにキャリアアップしたい!」という社員の声に応え、新たな役職の設置を検討中です。

 

1日かけてお客さまとの向き合い方を見直す「対応力強化研修」

SD向けの品質向上の取り組みとしては、2021年から毎年、対応力強化研修を実施しています。「ヤマトのサービスについてお客さまから質問された時に上手く答えられない」という声が寄せられたことをうけ、「SDが自信をもってお客さまに向き合える」ことをコンセプトに研修のプログラムを作成しました。

 

研修は8時間、1日かけて行います。午前は顧客対応強化プログラムとして、SDが二人一組でお客さま対応のロールプレイングを実施します。お客さま役のSDが相手の対応を客観的に評価し、評価シートに点数を記入。それをもとに、それぞれが自身のお客さまへの向き合い方を見直しました。

午後は営業力強化にむけて、ヤマトのサービスをどの程度知っているかを測る「商品知識テスト」などを行っています。参加したSDからは「お客さまとのコミュニケーションの仕方を学べる良い機会」「客観的に自分の言葉遣いなどを振り返ることができてよかった」と好評です。

 

▲【クリックして拡大できます】ロールプレイングでは、評価シートをもとに自身の立ち振る舞いを客観的に評価。

▲【クリックして拡大できます】商品知識テストに挑むSDの皆さん。テスト問題は人事部オリジナル。

ほかにも人事部では、SDのサービス接遇検定2級取得をサポートするため、テキストや問題集を提供しています。研修の目玉は、日本トランスオーシャン航空から講師をお呼びして開催される接遇研修です。

 

お客さまにもっと喜んでもらえるように自ら考え行動できる人財を育成する5S*も強化!
*5S:整理 整頓 清掃 清潔 躾

さらなるお客さま満足度向上に向けて、5S強化に取り組んでいます。先行して5Sを進めている南風原(はえばるちょう)営業所では、営業所内が整理整頓されたことで社員の意識が変わり、未計上・未配完が減るなどの効果がでています。今後はこの取り組みを他の営業所にも展開する予定です。

 

▲資材倉庫のBefore(左)After(右)。不要なものを処分し整理整頓したことで、常に「これは本当に必要か?」と考える習慣がついたそう。

▲PPホルダーのBefore(左)After(右)。必要なものがコンパクトにまとめられている。

沖縄ヤマトは「全てはお客さまのために」というポリシーのもと、今後も改善を続けていきます。

 

CXデザイン部からのコメント

佐々木東生さん

沖縄ヤマトの全セクションが一体となって、顧客の声に耳を傾けている姿に感銘を受けました。教育・研修制度の整備や改定によって、社員がいきいきと働く環境を作られていると感じました。NPS調査結果をもとに課題を分析し改善につなげるという沖縄ヤマトの取り組みは、どこでも出来ることだと思います。他の主管支店や営業所でも参考になるかと思い、ご紹介させていただきました。

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