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無事故継続40年のドライバーが語る、安全運転の心得

2023.06.28

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2023年度「無事故継続賞40年」受賞者

下記の6名の社員が「無事故継続40年」を達成し、表彰されました!

 

山形主管支店上山営業所奈良崎 繁一 さん
所沢主管支店新座コンテナ支店柏木 覚 さん
栃木主管支店栃木ベース遠山 清人 さん
武蔵野主管支店清瀬営業所山岸 浩 さん
厚木主管支店厚木及川営業所嶋川 富男 さん
湘南主管支店横浜上飯田営業所桑原 玲 さん

 

 

40年にわたり安全運転を続けてきた皆さんの、安全への想いやその背景に迫り、私たちも見習いたい。そこで、6名を代表して遠山 清人(きよひと)さん桑原 玲(あきら)さんにお話を伺いました。

 

栃木ベース 運行ドライバー 遠山清人さん「トラックを運転する責任、仲間の安全を守る責任がある」

40年以上無事故で運転を続けてきた遠山さんは、事故の重大さを誰よりも冷静に分析しています。「事故を起こせば、いろいろな人に迷惑をかけることになります。被害者の方やご家族はもちろん、荷物を待っているお客さまや、会社にも迷惑がかかります。自分の家族にも心配をかけることになるし、自分自身も辛い思いをします。起きてしまってからでは遅いから、事故の防止に力を尽くさなければならないんです」。

 

遠山さんの安全意識の根底にあるのは、運転という仕事に対する責任感です。「例えば、私はオートクルーズ機能(アクセルから足を離しても、一定の速度が保たれる機能)を使っていません。オートクルーズのほうが楽、安全という意見もありますが、トラックに乗せられているのではなく、自分がトラックを運転しているんだ』という責任感や主体性を持って運転しています。このような意識が、これまでの安全運転につながっていると思います」。


また、自分が事故を起こさないのはもちろん、職場の仲間全員が無事故でいられるための働きかけを行っています。「他のドライバーへの声かけや情報共有をし、コミュニケーションをとって雰囲気の良い職場をつくる。これが事故の防止に欠かせません。仲間が事故を起こしてしまったら、それは栃木ベースの運行ドライバー全員の責任。そう考えて、全員で無事故に取り組んでいます」。

遠山さんの無事故の心得

その1 全てにおいて「確認」を徹底

「例えば、発車時や交差点での指差し確認。バック時はバックアイカメラと左右のバックミラーの3点確認と、窓から顔を出しての後方確認。常に、巨大なトラックを扱っていることを自覚し、時間がかかっても毎回必ず「確認」します」。

その2 仲間とのコミュニケーション

「出車前に他のドライバーをさりげなく確認。もし焦っている様子があれば、一声かけます。道路の工事箇所や荷下ろし先の営業所のレイアウト変更といった、注意すべき点を仲間同士で情報共有します。誰かが事故を起こしてしまった際には、ドライバー全員で安全会議を実施。原因と対策を話し合い、実践できるルールに落とし込んでいます」。

 

職場での表彰式の様子。「仲間のおかげ、家族のおかげで無事故を達成できている」と遠山さん。

上司より

栃木ベース作業拠点長 

菅野 仁(すげの じん)さん

 

遠山さんは安全への意識が非常に高く、責任感が強いです。

 

運行ドライバーの誰かが事故を起こしてしまった際にはすぐに電話で一報くれ、安全会議の開催をリードしてくれます。改善策を検討する際には「運転時は食事やラジオ視聴をしない」など、誰もが継続できる提案をしてくれます。

 

「自分だけでなく、栃木ベース全体で事故を防止する」という意識の高さを、日々実感しています。

横浜上飯田営業所 SD 桑原玲さん「安全に”100%”はない。事故の確率を下げる努力を続ける」

「自分は本当に、運転が嫌いなんです」と話す桑原さん。「運転が怖い。運転中はずっと気を張っているので、とても疲れます。ラジオを聴くのもやめました。臆病なんです」。


桑原さんが事故の怖さを強く意識するようになったのは、同僚が起こしてしまった大きな人身事故がきっかけでした。「仲良くしていた後輩でした。当時を思い出すと、今でも涙が出ます。私の担当コース内に彼の家があり、事故の数日後、集荷のために立ち寄りました。すると、彼の奥さんが私の顔を見るなり泣き出してしまって…。1つの事故が被害者や本人、そして周囲の人々に与えるダメージの大きさに、私は言葉も出ませんでした。安全に”100%”はありません。どれだけ注意をしても、事故はある日突然起こってしまうことがある。必要なのは、事故が起こる確率を少しでも下げる努力だと思いました」。

実際に40年以上運転をする中で、「ヒヤリ」とするシーンもあったそう。「ヒヤリとした体験を『事故にならずにラッキー』と思って見過ごせば、いつか必ず事故になります。一つひとつのシーンを忘れず、あらゆるリスクを想定し、備えながら運転しています」。

また、事故の怖さを身近に知ったからこそ、後輩の指導にも熱がこもります。「自分が事故を起こしてしまったら、後輩や同僚に何も言えません。自分が安全運転のお手本を見せないと。私たちドライバーにとって、安全に勝るものはありません」。

桑原さんの無事故の心得

その1 自分を熟知し、焦らないよう先回り

「自分の性格をよく知ることも重要。私は焦るとミスが多くなる性格です。配達時、時間帯指定の荷物がたくさん残っていると焦ってしまいます。時間帯指定の荷物を優先して配達する、間に合わなかったら仕方ないと割り切るなど、先回りして対策しています」。

 

その2 知識・経験を仲間に共有

「40年間、直接的・間接的にさまざまな事故の情報に触れてきました。その経験や知識が、事故の防止に非常に役立っています。それを仲間に積極的に共有し、営業所全体で事故を減らせるように取り組んでいます。仲間との日常のコミュニケーションを通じて、安全意識を醸成しています」。

横浜上飯田営業所の皆さん。前列一番右は安全指導長の直 輝一さん。その隣が労働組合の湘南支部書記長 田巻 重雄さん。

職場で表彰される桑原さん。所長いわく「普段は優しいが、仕事に厳しく、叱る時は怖い」

上司より

横浜上飯田営業所長 

大久保 賢一(おおくぼ けんいち)さん 

 

横浜上飯田営業所は、桑原さんを中心に仲間意識がとても強い職場です。桑原さんはベテランですが、決して偉そうにせず、皆と同じ目線で仕事をしています。だからこそ周りも気さくに話しかけることができ、雰囲気の良い職場になっています。

 

近隣の営業所のSDが事故を起こした時も、「所長、助けてあげてよ」と周りにサポートを呼び掛けていました。仲間の事故も他人事にしない、仲間意識とリーダーシップをとても頼りにしています。

 

労働組合でも活躍する桑原さん。支部書記長からもメッセージをいただきました。

ヤマト運輸労働組合 湘南支部 支部書記長
田巻 重雄(たまき しげお)さん

 

「運転が怖い」と言う桑原さんは、主管支店や組合での会議には車に乗らず、電車で来るほどです。運転のリスクを熟知していて、臆病になり、緊張感を持って運転しているからこその「40年間無事故」なのだと感じました。湘南支部の副委員長としても、熱心に後輩を指導してくれています。

 

 

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