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一人ひとりの仕事がつながって ひとつの荷物が届くまで ~コロナワクチンロジスティクス編~

2022.07.29

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毎月、「荷物」をお預かりしてからお届けするまでの流れと、かかわる社員の想いを紹介してきた「ひとつの荷物が届くまで」。今回のテーマは、「コロナワクチンロジスティクス」です。

ワクチンの品質を保つ倉庫オペレーション超低温輸送の仕組み、業務の工夫を紹介します!

 

PDFを見たい方はこちらから!

 

本社と現場が一体となってファイザー社のコロナワクチンロジスティクスを実現

ワクチンなどの医薬品輸送には、品質や安全性を確実に守るため、温度管理や作業時間などに厳しい基準があります

なかでもコロナワクチンは、–90℃から–60℃を維持した超低温輸送が必要です

ヤマトグループでは、本社と現場が一体となって2021年2月から成人用の、2022年1月から小児用のコロナワクチンロジスティクスを実現しています

ヤマトグループが一丸となって実現したコロナワクチンロジスティクス

営業・OP設計部 ソリューション設計チーム ソリューションデザイナー 山内 雄太さん

コロナワクチンロジスティクスにおいては、オペレーション・温度管理の厳しい条件をクリアし、高い品質を維持した上で、その品質をリアルタイムで完全トレースする事が重要です。

より確実で効率的なオペレーションを行うため、現場のメンバーと何度も意見を交えながら作業手順を改善し、構築してきました。特に、「ドライアイスフリー輸送」を実現しながら、厳格な温度管理を行うというオペレーションの設計には大変苦労しましたね。

「全国にネットワークを持つ」というヤマトグループの特徴と、昨年から請け負っていた「成人用コロナワクチンロジスティクスでの完全トレース・温度管理の実績」を評価いただき、2022年からは小児用コロナワクチンロジスティクスの100%をヤマトグループが受託

超低温で高い品質を保つことができているのは、庫内作業をはじめ、全国の地域・ベース・ラストマイル・コールセンター・ITなどさまざまな方の協力があったからこそです。Oneヤマトとしての力が「一日でも早く全国へワクチンを届けたい」というファイザーさまの想いを実現したのだと思います!

※ヤマトグループの小児用コロナワクチンロジスティクスでは、ドライアイスを使わずに超低温を保つ輸送を実現しています。

羽田メディカルセンターから工程スタート!

今回教えてくれたのは…羽田メディカルセンターの皆さん

①着荷したワクチンを超低温冷凍庫へ

羽田メディカルセンターで受け取ったコロナワクチンを、メンバーが連携して超低温冷凍庫に格納します。暴露時間5分以内という厳密な時間制限があります。

※暴露時間:ワクチンが常温の空気に触れる時間

暴露時間5分以内に作業を行います!

ワクチンを持ち上げるときはシッカリ指をかけ、反対の手で下から支えて落下を防止します。

衛生管理を徹底するため、必ずヘアキャップを着用します!


ウィエック パトリシアさん

毎日メンバーと振り返り、日々改善しています!

コロナワクチンが常温の空気に触れていい時間は最大5分。短い制限時間を守りながら、大切なワクチンを落とさず安全に運ぶため、チームのメンバーみんなで意見を出し合い4分以内の作業完了を目指して試行錯誤してきました。

体内に入るワクチンの品質を守るため、作業の後にはみんなで振り返りを行い、日々改善を繰り返しています。マスクが必要ない生活に向かっていると感じたとき、この仕事の重要性を実感します!

②超低温用冷凍箱を予冷する

超低温用冷凍箱(ワクチンを入れて運ぶ箱)の中に、蓄冷剤と温度ロガー(温度を記録する機械)を入れて、ワクチンを入れる前日の夜から予冷します。

蓄冷剤や温度ロガーの入れ方は、位置や向きが細かく決まっています。

スムーズに予冷ができるよう、大量の蓄冷剤を準備しています。

コラム:ワクチンロジスティクス用に新機材を導入!

超低温を保てる「超低温用冷凍箱」

–120℃まで冷やせる蓄冷剤「超低温氷」

岩下 憲二さん

超低温用冷凍箱の確実な準備で、後工程にワクチンをつなぎます!

温度管理が命のワクチン。超低温用冷凍箱を確実に予冷できるよう、蓄冷剤がきちんと冷えているか気を付けています。

次の工程の仲間たちがスムーズに作業できるように、出荷作業のない日も作業の練習とチェックを繰り返して、確実な準備を心掛けています

不備なく準備でき、後工程の仲間から「助かったよ、ありがとう」と言ってもらえるのがうれしいです!

超低温用冷凍箱内の温度が–90℃から–75℃に安定したら…
③ワクチンを暴露時間5分以内に超低温用冷凍箱へ

ワクチンを超低温冷凍庫から取り出し、品質を守るために必要な温度管理を徹底するため、暴露時間5分以内に超低温用冷凍箱へ格納します

 

守るべきポイントをまとめたマニュアル。目に入りやすい場所に掲示しています。

外箱に破損がないか、入念にチェック!

滝 悠佑さん

チーム全体で意識統一し、作業手順を徹底しました。

凍って滑りやすくなったワクチンを落とさないよう、作業前に全体レクチャーを行ったり、マニュアルを作ったりすることで、作業の安全を徹底してきました。品質を守りながら業務効率化も実現するための工夫が大切です。

コロナが収束してきて、「物流を通して世の中を変えられる」と実感。高い品質基準を持つワクチンロジスティクス現場での経験は、自分のスキルアップにもつながると感じています!

④ワクチンを発送する

梱包されたワクチンと配送予定データを紐づけてボックスに積みつけます。その後、羽田クロノゲートベースに引き渡して、全国の各ベースに向けて発送します

万が一にも間違いがないよう、手順書に忠実に一つひとつの作業を完結させていきます!

梱包作業が終わったら超低温用冷凍箱に封印をします!

羽田クロノゲートベースから発送

杦本 拓也さん

仲間とコミュニケーションをとり、確実に正確に発送!

小児用ワクチンの取り扱いは、特に高い集中力を必要とする作業。オン・オフをうまく切り替え、集中力を保てるよう心掛けています

また、万が一にも間違いがないよう仲間とのコミュニケーションを大切にしています。

コロナが落ち着いてきて、単身赴任の私も、以前より子どもに会いに行きやすくなりました。「状況が改善しているな」と実感する瞬間に、自分の仕事の意義を感じます!

完全トレースで輸送中のワクチンを見守る

今回教えてくれたのは…営業・オペレーション設計部 TMC 集中コントロールセンターの皆さん

位置情報をはじめ、配送状況をリアルタイムでモニタリング。輸送に関わるあらゆる工程・チームと連携し、情報を管理しています。

配送スケジュール・納品先のご希望・遅延状況・配完日時など、あらゆる情報を集約して、先手を取って行動しています。

森川 祐成さん

いち早い情報収集、各所との迅速な情報伝達が肝

入手した情報に応じて「明日は天気が悪いようですが、配送に影響はないですか?」など、各工程の責任者に細かく連絡をとっています

いつも複雑なルールを守ってワクチンを運んでくれるSD・MMDの皆さまのために、最小限の負荷で配送が行えるように心掛けています。また、連携するほかの部署とも、常に情報共有を行っています。

私にも子どもがいますが、子どもたちがコロナ以前と同じように学校に行けるようになってきたことを実感しています!

⑤GDP教育を受けた6万人のドライバーが、全国の営業所から配達

※GDP:医薬品の適正流通基準(Good Distribution Practice)

全国の営業所に到着したコロナワクチンを各地の自治体の接種会場や、クリニックなどにお届けします

小児用コロナワクチンを確実に配達するため、事前研修で全国6万人以上のSD・MMDに基本的な知識や配送手順を学んでいただきました。これまでに小児用ワクチンを配達した営業所は1,600以上となりました。

品質をつないできたワクチンを確実にお客さまの元へ

今回は、ミドルマイル大田営業所のお二人にお話をうかがいました!

お客さまにワクチンをお渡しするときは、受け取り時の手続き方法を伝えたり、目の前で封印シールを開封したり、品質を信頼してもらえるように工夫しています
納品数が多いときは渡し間違いを防ぐため、会場ごとにリーダーを立てて荷物の流れをコントロールします

左から、MMD 駒村 亮さん、MMD 橋本穣さん

 

駒村さん

私が運んだワクチンを家族が接種していて、人々の健康に貢献していることを実感しました!

橋本さん

コロナに立ち向かうような気持ちでワクチンを輸送していました。コロナ撲滅に貢献したいです!

羽田メディカルセンター 竹嶋マネージャーからのコメント

ロジセンターマネージャー 竹嶋 一樹さん

高い作業品質を保つために、職場環境を整えることが仕事です

人・物の管理、お客さまとのやりとりなど、羽田メディカルセンターでワクチンを扱う工程に携わるすべての業務を統括しています。

厳しい基準を守るため、作業する社員・パートナーさんには勉強会や教育会を行い、その記録をとるなど、教育も徹底しています

一つひとつの作業手順を正確に守ることが品質に直結するワクチンロジスティクスの仕事において、「慣れ」は厳禁。毎日ミーティングを行い、作業の重要なポイントやその理由、仕事の目的を話し合っています。また、実際に作業を行う中で、変更した方が安全かつ確実に出荷できると感じた工程があれば、ファイザーさまにご提案して作業手順を変更するなど、品質を守り続けるための取り組みも行っています

空いた時間には作業のデモンストレーションを行って、全員の作業をレベルアップ。集中力が落ちるタイミングやミスが起こりやすいポイントを洗い出すなど、日々改善しながらより良い環境づくりをしています!

感染者が減少しているという報道がやりがいです。今後も、集中コントロールセンターやSD・MMDと連携し、「世の中のコロナを減らす」という使命を果たしていきます!

 

 

ワクチンを開発したファイザーさまより

ファイザー株式会社 ジャパンマーケット ロジスティックスリード 土屋 陽亮さん

ヤマトさんのチームワークで安定供給が実現しています!

 

新型コロナ感染拡大に伴う社会的要請に応えるため、全国のワクチン接種施設へファイザーワクチンを配送いただきありがとうございます

弊社が求める厳格な品質、セキュリティ等の難しい要件を貴社チームワークによりさまざ まな工夫を凝らして迅速にご対応いただくことができました。

これまで大きな問題なく安定供給できているのは貴社の現場力の賜物と感じており、心から感謝申し上げます。今後とも、コロナ終息、社会の平常化に向けて最大限のご支援をよろしくお願いします。SCIENCE WILL WIN!

 

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