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ECサイトで購入した海外の商品が日本に届くまでをご紹介!~越境EC荷物編~【動画】

2022.04.26

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今回は、「越境EC荷物」編です!

越境ECとは、インターネットを活用して、日本国内から海外の商品を購入する通信販売のこと。 日本の購入者が海外のECサイトで購入した商品が、各国から国際宅急便(International TA-Q-BIN)を使って、 羽田空港・成田空港・関西国際空港に日々、送り届けられています。

今回は、アメリカ ロサンゼルスから、 羽田空港/羽田クロノゲートを通して、越境EC荷物が届くまでを解説します。

 

越境EC荷物の今

ヤマト運輸では、ヤマト海外現地法人を中心に16カ国からの荷物を扱っています!

 

国内の荷物と何が違うの?

海外の荷物を国内に入れるには、国の許可が必要!
海外から到着する荷物は、荷物の内容を申告する・検査を受ける・納税して許可を得るなどさまざまな手順を踏み行政に許可をもらう必要があります(輸入通関)。こうした専門知識が必要で手間のかかる業務をヤマトが代行しています!

海外からの荷物は、輸入の際に税金が課されます!

輸入通関は「税関」といわれる行政機関に対して行われます。テレビで見る税関のイメージは、日本に入ってきてはいけないものを空港で取り締まっている姿ですが、その他に、輸入時にかかる関税や輸入消費税等を適正に徴収する役割もあります。

1,集荷/ピッキング

荷主さまからお預かりした商品を、日本に出荷する準備をする

日本の購入者からの注文情報をもとに、出荷する商品をピックアップし梱包するところから1日が始まります。

Yukikoさんが担当する部門では10名のスタッフで、5,000~6,000個の梱包作業を担っています。商品の在庫管理も代行しているため、お預かりする商品の入庫検査も行っています。

Distribution Center West Branch
Yukiko Rogersさん

越境EC荷物の注文が近年増えていることにあわせて、入庫する荷物の量も増えています。
そのため、荷主さまから受け取った荷物を保管する場所を確保するのが大切。マネージャーと相談しながら日々工夫しています。

具体的には、保管場所を考える際に、パレットが通路をふさいで荷物を取り出す人たちがぶつからないよう、常に整理整頓を心がけています
他にも、紙伝票からの情報の入力作業など、一つ一つの業務をどのようにして簡素化するか、日々創意工夫中です。

注文伝票と荷物の中身が合っているかを丁寧に確認します!

取扱商品が増えてきているので、整理整頓に気を付けています!

2.輸出手続き

荷物情報を確認し、輸出の手続きを行う!

荷主さまからいただいている情報と、実際の荷物の内容が合っているかを精査し、日本の運用管理チームに送る書類を作ります。

1日に扱う情報は7,000~8,000件ほど。「当日入った注文は、原則、当日出荷」が米国ヤマトの鉄のおきて!スピードに、驚いていただくことも多いです!

 

商品によって、出荷時のルールが変わります。荷主さまやお届け先さまに迷惑がかからないように、申告内容を厳しく精査!

Distribution Center West Branchの皆さん

Distribution Center West Branch
Yutaka Homma White Eagleさん

日本の皆さんが丁寧に荷物を運んでくださっているおかげで、「ヤマトなら安心」という声をアメリカでもいただいています!いつもありがとうございます。

越境EC荷物ならではの難しさを感じるのは、輸出入についての専門知識が求められることです。
例えば、海外から日本に送ることができる商品の点数や成分の上限。化粧品やサプリメントは、個人輸入の規定量を超えると、輸入できなくなってしまいます。
法律やルールを守れているか、常に注意して仕事をしています。

個人的なスローガンは「1に仕事、2に仕事、3、4に仕事、5に仕事」(笑)。
一緒に働く支店長や部下にも貢献できるよう意識しています。

 

豆知識 ~取り扱い商材トップ3はこちら!~

1.健康食品・プロテイン
2.アパレル 
3.化粧品


アパレルは中国発の若者向けECサイトの影響から、また化粧品は韓国コスメの人気が需要を引き上げています。

3.集荷情報の確認

荷物リストをもとに通関準備を行う

荷物が到着する前に、米国ヤマトから荷物情報を受け取り、通関業務を行う事前準備として、書類の作成などを行います。

荷物到着後に申告がスムーズに行えるよう、到着の約2日前までには情報に不備がないかのチェックを終わらせるようにしています。

 

米国、欧州、アジアにある各支店から送っていただいた荷物情報を確認。現地の方とも協力しながら取り組んでいます。

羽田空港通関センター 運用管理チーム
小森 満琳奈さん

チーム全員が「お客さまに早く荷物を届けたい」という気持ちで仕事に励んでいます。
事前に海外から情報が届くので、貨物到着の約2日前までにチェックを終わらせるなど、スピーディーな仕事を心掛けています。

去年12月の繁忙期には1ヶ月で90万個の荷物を受けました!
当時は忙しかったですが、「クリスマスプレゼントだから絶対に当日までに間に合わせよう!」という気持ちで取り組みました。達成感があり、楽しかったと思える繁忙期でした。

4.保税運送

荷物が羽田空港に到着!税関から保税運送の承認をもらう

荷物が羽田空港に到着しました。ここで到着した荷物は「外国貨物」といって、国内に到着はしているけれども輸入の許可がまだ下りていない荷物として扱われます。外国貨物は、「保税地域」という税関から許可を得た指定の場所に置かなければなりません。

そこで、外国貨物を特定の場所へ運送する「保税運送」の承認を税関からもらい倉庫と傭車会社とを連携し、効率の良い作業環境を作っています。

羽田空港から届いた荷物を下ろす

スピーディーな対応を全員で心がけています!運用管理・オペレーションチームの皆さん

羽田空港通関センターオペレーションチーム
黄 雅儀さん

荷物が壊れてしまった場合などのイレギュラー対応も行っています。滅多に起こりませんが、万が一発生した際は、さまざまな部署と連携した対応が必要になります。

以前、結婚式に使うお品物に関して問い合わせがあり、トラブルとなったことがありました。
さまざまな部署と連携し、スピーディーに対応した結果、無事にお客さまの元にお届けすることができました。
そうした大切な荷物が無事に届いたことを確認できた時には、ホッとすると同時に達成感があります。仕事のやりがいは、お客さまの役に立つことですね。

5.輸入通関

税金に関わる申請を行う

輸入通関の際、品物によっては、税関に対して関税や輸入消費税等を納めなければなりません。

そこで、輸入する一つひとつの品物に、「税番」という税表番号を私たちが振っていきます。

税番(HSコード)とは、世界共通で使われる輸出入する品目のための税表番号のこと。し分類を誤って、異なる税番で申告をしてしまうと、荷主さまが納める関税額に影響が出てしまいます。細心の注意を払い、ダブルチェックを徹底しています。

 

繁忙期もチーム一丸となって乗り越えました!通販チームの皆さん
羽田空港通関センター 通販チーム
増田 ひかるさん

「実行関税率表」というコード表を常に手元において仕事をしています!
このコード表を確認しながら一つひとつの商品に税番を振り分けています。

普段目にしない珍しい商品も多く、その都度インターネットで商品情報を検索し、用途などを調べています。
必要があれば荷物の中身を直接目で見て確認し、現地から届くデータと実際の荷物の中身を照らし合わせることもあります。
日々正確に、そしてスピーディーに業務を行うことを意識しています!

 

豆知識 ~税番の照らし合わせは、とても地道な作業。~

「実行関税率表」は約900ページで構成され、世界中のあらゆる品物が97類のカテゴリで分類されています。輸入される製品がどの税番か、必要に応じてコード表を逐一確認していきます。

6.書類審査・税関検査

税関検査に立ち会う

税番を振り終えた後、税関への申告は専用システムを使いオンラインで行われます

即時輸入許可になるものも多いですが、内容によっては書類審査を受けます。

また税関が検査を必要と判断した場合は、荷物を税関検査場に持ち込んで直接荷物の中身を検査する現物検査をする必要があります。

ヤマト社員は、その検査現場に「通関業者として立ち会います

羽田空港通関センター 税関班チーム
吉橋 貴彦さん

通関士と税関のパイプ役として働いています。
税関の方からの問い合わせに答えるためには幅広い知識と柔軟な対応力が必要です。

新人には知識のある人が横について、税関の方と話します。
法律は幅広いため、場数を踏むことで経験を積んでほしいと考えています。

3人ほどの勤務で効率よく業務を回すためには、検査件数の割り振りだけでなく人数調節も重要です。
適切な配置ができるよう、普段からコミュニケーションを大切にし、チームで協力しながら業務を行っています

主な検査方法は以下のとおり!

X線画像検査

大型の検査機で荷物の梱包を解かないまま中身を確認します。万が一、不審な影などが映った場合は、開披検査を行います。

開披検査

荷物の梱包を一旦解き、中身を実際に目で見て確認する検査です。ブランド物の偽装品がないかなども、ここでチェック!

麻薬探知犬

特別に訓練された麻薬探知犬によって、覚醒剤などの不正薬物が国内に流入することを防ぎます。

関税のお二人より

東京税関監視部 麻薬探知犬訓練センター室 羽田事務所
井筒 実さん

犬は麻薬の匂いを辿ることを遊びの一環として覚えてくれているので、いかに楽しく訓練するかがカギになります。検査は一日大体2回で、検査や訓練以外の時間は、シャンプーやブラッシングなどのケアに時間を使っています。

犬種によって、そして犬によっても性格はさまざまです。現在、ペアのブフは頭もよく、頼りにしています!
仕事中に犬の気が散ってしまう時には声を出して励まし、変化を付けるなどの工夫をしています。麻薬は年に一度くらいの頻度でギフト品に紛れていることがあります。

東京税関羽田税関支署 検査部門
戸髙 莉奈さん

X線解析をすることで、中身が有機物、無機物、金属のどれかを判断できます。
中身が書類で報告されているものと異なる場合には開披します。

実際に危険なものを摘発したことはありませんが、申告外のものを見つけたことはあります。また、ブランド物の商品が偽物ではないかを確かめることもあります。偽物の可能性がある場合には、知財課に確認してもらいます。

業務にはX線解析以外にも、開披、書類などの担当があり、さまざまな役割を持つ人が協力して仕事をしています!

 

 

7.宅急便発送

通関許可が下りた荷物を日本各地に発送

貨物の搬入から始まり、税関から輸入が許可された荷物の発送作業をします。

生産性を上げるためには、スタッフ一人ひとりの持ち味やその日の体調なども考慮した人員配置が重要です。

 

昨年自動貼付機が導入されました!


 

私たちが保税蔵置場で働くメンバーです!

羽田空港通関センター 羽田保税蔵置場 国宅作業チーム
打矢 大樹さん

私は新卒で採用されて2年目の昨年から、海外発国際宅急便貨物の倉庫の作業リーダーとして働いています。普段の業務は、海外から到着した荷物をフォークリフトに載せて作業レーンに運び、スタッフに作業工程を説明して、国内配送用の送り状を貼るという流れです。

派遣スタッフの教育・指導も行っています。連携は難しいですが、スタッフをよく見て、積極的に声をかけることを意識しています。荷物が多くプレッシャーもありますが、スタッフの力や作業レーンの動きを把握して、思い通りに生産性を上げられたときには達成感があります!
今後は、今の経験を生かし、海外の現地法人などで海外と日本をつなぐ役割を果たしていきたいです。

 

 

関西空港通関センターの皆さん。関西国際空港でも国際宅急便を取り扱っています!

 

羽田空港通関センター センター長 

宮本 一茂さん より

ヤマトの品質を武器に、海外市場を変えたい

8年間ソウルに駐在し越境ECの営業をしていた経験から、マトが海外でも品質で勝負していける環境を作りたいと思うようになりました。

ヤマトは国内から高い品質が約束された宅急便として評価していただいていますが、海外ではそうはいきません。

海外の販売者さんからは輸送費は安ければ安いほど良く、品質はその次と思われているのが現状だからです。
輸送費だけでなく、アフターサービスまでのやりとりの速さがヤマトの武器。担保できる品質のレベルをしっかりと提示し、国際のお客さまに対して周知できるように努めていきたいです。
月間100万個の壁を超えても品質を落とさないよう、一緒に頑張りましょう

今回はサービスセンターにもお話を伺いました。

 

羽田空港通関センター サービスセンター

日本のお客さまからのお問い合わせに対応します!

羽田空港通関センター サービスセンターでは、すべての国際荷物において、お客さま窓口を担当しています。「まだ荷物が届いていない」ということに対して、通関許可が下りずに羽田クロノ ゲート内で止まっているのか、国内発送時にトラブルが起きているのか、など想定される原因は とても複雑です
毎日60本以上の電話と100通以上のメールが届きますが、お客さまを最優先に対応しています。

 

羽田空港通関センター サービスセンター
福田 聖史さん

通関に関するトラブルに対応しているため、越境ECから国内の宅急便まで、広い範囲で深い業務知識が求められます。税関の基本は正しい情報で申告することなので、情報に不備があれば調査が必要です。

貨物の正しい情報を海外現地法人に共有し、正しい情報で再発送をかけることや、一定期間が過ぎれば送り主に荷物を戻すこともあります。
また、コロナ禍やウクライナ情勢など、コントロールできない社会情勢に大きく影響されるのが越境ECの難しさです。

それらのイレギュラーに迅速に対応するためにも、一つの荷物がどのように届いているのかの全体像をしっかり理解する必要があります

お客さまを最優先!サービスセンターの皆さん
通関に際し、お届け先さまに直接確認させていただくことがある場合に、お電話等で対応しています羽田コールセンターの皆さん

 

【今後について】

グローバル戦略推進部では、越境EC市場の拡大・ニーズの多様化に対応すべく、EAZYや返品サービスなどお届け先さまの利便性拡大、船便への対応など競争力ある新サービスの創出、AIの技術を用いた情報チェックの自動化などに取り組んでいます。また、日本向けのみならず、日本発海外向けの越境ECにも取り組んでまいります。

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