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ネコマークが空を飛ぶまで Vol.3 【インタビュー】就航に向けパイロット訓練を開始

2023.11.22

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YAMATO NEWS webでは4月に予定しているフレイター就航までの準備のようすを定期的にお知らせしています。

今回は第三弾として、訓練施設にお邪魔し、フレイター就航に向けて訓練中の運航乗務員(パイロット)のお二人にインタビューをさせていただきました。

 

2022年3月の社長メッセージ「フレイター就航」はこちら

ネコマークが空を飛ぶまで Vol.1(機体修理のようす)はこちら

ネコマークが空を飛ぶまで Vol.2(ペインティングのようす)はこちら

 

スプリング・ジャパン株式会社の運航乗務員(パイロット)にインタビュー

ヤマトグループの貨物専用機の運航を担うスプリング・ジャパン株式会社のパイロットのお二人は、1年前からこのプロジェクトの準備に取り組み、座学などを経て、8月17日よりシミュレーターでの訓練を開始しました。

 

今回インタビューに答えていただいた伊藤充志(あつし)さん(左)と宮本陽介さん(右)

お二人とも、国内外で主に旅客機の運航に長年携わられてきました。

〇このプロジェクトに参加した経緯を教えてください

宮本さん

これまで、スプリング・ジャパンではボーイング737の1機種のみで運航をしていますが、今回のプロジェクトによりエアバス社の機体も運航することになります。新機種を入れることは航空会社にとって大きなプロジェクトです。そのプロジェクトに参加し、その運航を担えることはとてもやりがいがあることだと感じています。1年前に第1陣として運航乗務員が6名任命され、ほかの仕事をしながら、就航に向けて準備してきました。その後、教官や、安全・規定を担当しているメンバーが加わり、6月からはこのプロジェクトの専任になりました。7月から訓練を開始し、本日初めてシミュレーターで訓練を行いました。

 

〇どのような訓練・準備を行っていますか?

 

宮本さん

スプリング・ジャパンではボーイング737のみの運航のため、エアバスのライセンスを取得している人は少ないです。そのため、社内でエアバスのライセンスを持っている人がまず任命されたと認識しています。航空機のライセンスは、機種ごとに異なり、また過去に取得していても継続的に使っていないといけないため、ライセンスを復活させるための訓練をしています。

 

伊藤さん

私は以前勤めていた会社でエアバスの運航経験があり、4年ぶりにエアバスに乗るのですが、ミッションは大きく二つあると考えています。一つは、エアバスの規定が変わっている部分を把握すること。そしてもう一つは、スプリング・ジャパンの規定やオペレーションとすり合わせることです。

 

 

宮本さん

スプリング・ジャパンは今までボーイング737の1機種しか運航してこなかったので、他の機種を想定した規定やオペレーションではありません。ボーイング737に特化したルールを見直すことが必要です。

 

伊藤さん

また、今後、タイ出身の運航乗務員が新たに加わり、タイで取得したライセンスを日本で使えるようにするための訓練をする予定です。私も海外で取得したエアバスのライセンスを日本で使えるようにする必要があるので、彼らに先行して訓練を受けて、その経験を伝えていく予定です。

 

〇シミュレーターで訓練を行ってみてどうでしたか?

伊藤さん

今日初めてシミュレーターで操縦しましたが、早く実機を操縦したくなりました。

宮本さん

あらためて訓練してみて今回運航予定のエアバスと今まで乗っていたボーイングの違いを感じました。10年ぶりに操縦するので、覚えていないことが多く「ボーイングではこうだったのに」と思うこともあります。特に、今回は機体の製造会社もボーイングからエアバスに変わるので、意識も変えなきゃいけないと感じています。ただ、こういう機会は、運航乗務員の人生でなかなかあるものではないので、いい経験になっています。シミュレーターで運航してみて、改めて”良い飛行機だな”と思いました。(ボーイングや以前のエアバスと比べて)自動化されていて、飛行機の安全機能も、かなりの部分がコンピュータによって制御されています。ヤマトのフレイターは深夜飛ぶことも多いので、心強いです。

 

〇フレイター運航にあたって大変だと思うことを教えてください

 

伊藤さん

今回のフレイターは24時間運航で、深夜に複数回離着陸することです。深夜は何かトラブルがあったときに、空いている空港が少ないこともあります。またメインで使う予定の北九州空港は、ほかの空港と異なり空港に着陸する際の機械によるガイドが少ない(非精密進入)ので、その分パイロットの作業が多くなります。そのため安全には気を遣う必要があります。

宮本さん

今回は貨物専用機なので、最大積載量近くまで荷物を積むことが想定されます。機体が重いと、高度も制限されますし、離着陸自体も難しくなります。そこにどう対処するかを訓練の中で検証していきます。旅客機と貨物機でライセンスは一緒ですが、シミュレーターは旅客機仕様のため、そこを今後の実機の訓練でもしっかりすり合わせしていくことも課題です。

〇就航に向けて、楽しみなことはありますか?

 

伊藤さん

今、ニュースなどで報道されているトラックでの輸送力減少が懸念されている2024問題に、少しでも貢献できることがうれしいです。ヤマトグループの皆さんがこのプロジェクトについてどう思っているのか、気になっていますので、楽しみにしてくださっているといいなと思います。

宮本さん

貨物専用機に乗務できる機会はなかなかないので、大変楽しみにしています。まだ実機を見ていないので、機体の中がどうなっているのか、またエアバスはボーイングと違ってコックピットの床がカーペットなのでそれも楽しみです。今回のプロジェクトによって、実際に地域貢献や社会問題に寄与できることもモチベーションにつながります。

ヤマトグループの社員に向けてメッセージを頂きました(動画)

 

 

実際に訓練を行うシミュレーター。訓練後にシミュレーターの中を特別に見せていただきました

シミュレーターの操縦席に座る伊藤さん

取材日(8月17日)はシミュレーターでの訓練初日でした

 

YAMATONEWSwebでは今後もフレイターに関する情報を発信していきますので、お楽しみに!

次回はいよいよ来日したフレイターをご紹介します!

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