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愛媛主管支店で安全啓蒙に尽力してきた山崎マネージャーに学ぶ!防災の極意とは

2023.04.26

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2018年の西日本豪雨災害の経験から、さまざまな防災対策と意識啓蒙を実践してきた愛媛主管支店の山崎マネージャー。

今回は、特に意識して実践してきた取り組みをご紹介します。

 

土地を知り、被害を想定しておく

 

インタビュアー

防災について考え始めたきっかけは何ですか?

 

山崎マネージャー

2011年の東日本大震災です。岩手主管支店に応援に行き、被害の甚大さを痛感しました。これをきっかけに、もし愛媛で自然災害が発生した場合は、被害を出さないために何ができるだろうか、と考えるようになりました。一方で、まさか愛媛が大きな自然災害に見舞われるとは想像もしていませんでした。

 

インタビュアー

実際に愛媛主管支店管下で災害が起きたのでしょうか。

 

 

山崎マネージャー

2018年7月の西日本豪雨災害です。過去に台風を経験してきた大洲営業所ではエンジンをかけないように所長に連絡をしたので、車両のエンジン破損を防ぐことができましたが、逆にこれまで台風の影響を受けてこなかった宇和島吉田営業所では、車両4台が水没してしまいました。この経験から、これまで想定していなかったエリアでも被災する可能性があるということと、平時から防災を意識した備えの必要性を痛感しました。

 

インタビュアー

平時からの備えとは具体的にどのようなことでしょうか?

 

山崎マネージャー

自然災害は、地震のように予測ができないものと、豪雨や台風などある程度予測できるものの2つがあると思います。

 

予測できる豪雨や台風に対しては、訓練を重ねることと、職場がある土地を知ることで平時からの備えが可能です。定期的に異動がある営業所長は、その土地に詳しくないケースが見受けられます。避難場所や車両の退避場所などを決める際には、その営業所で長く働いているスタッフ、地元に住んでいるスタッフの意見を最初に聞くことが大切です。営業所の立地や川の状況、危険な場所などについて教えてもらい、判断材料にしてください

 

車両退避場所の条件をもう一度確認しよう!

【車両退避場所の条件】

①公共の場所を指定している場合、一般の方の車両が退避してきても十分なスペースがあるか。
②営業所から近く、できるだけ近隣の川の橋を越えない場所か。
③所有者の許可をとれる場所であるか。
④夜間でも車両退避が可能な場所か。(学校などは夜間に使用できないことがあるので注意)
⑤車両を退避した後に、スタッフが帰宅できる距離や条件の場所か。

 

山崎マネージャー

愛媛主管支店管下の多くの営業所は、高台の荷主さまやお寺の駐車場を退避場所に設定しました。例えば砥部営業所は、営業所近くにあるお寺の責任者の方に相談し、檀家さんの会合で協力をお願いし、許可をいただきました。年1回の避難訓練では退避場所に赴き現地を確認。お寺の責任者の方にご挨拶に出向きます。
過去のような災害が、いつまた発生するかは分かりません。定期的に訓練を行い、退避場所に異常がないかなどをしっかり確認することが必要だと考えています。

 

インタビュアー

愛媛主管支店では他にもさまざまな取り組みを行っているとお聞きしました。

 

山崎マネージャー

例えば、安全強調日には営業所長が営業所周辺の排水溝を見回り、確認しています。これは過去に、国道の排水溝が詰まり、その影響で冠水した営業所があったことから始めました。また、連絡網を定期的に整備し、電話番号が変わっている人がいないか確認します。台風の予報が出れば、荷物の保全やOA機器の保全作業を必ず実施します。

 

主管支店や会社の枠組み超えて備える

インタビュアー

愛媛主管支店は、高知主管支店と合同で訓練を行ったと聞きました。

 

高知主管支店と合同で訓練をした
当時の愛南営業所所長
 羽藤廉郎さん

愛媛主管支店管下の愛南営業所は、愛媛県内の最寄りの市町村である宇和島市まで、車で1時間かかります。その一方で、県は違えど高知県宿毛市は20分の距離で、愛南町の生活圏です。このような背景から、2020年6月に合同での訓練開催に至りました。訓練後は高知主管支店管下の営業所長と連絡を取り合い、車両の退避などに協力して取り組んでいます。

 

最寄りの宇和島市まで片道1時間かかるが、高知県宿毛市までは20分。

 

インタビュアー

ヤマトオートワークス(YAW)と車両保全のためのマニュアルも作成したそうですね。

 

山崎マネージャー

「トラック防災ガイドマニュアル」です。冠水した道路を走行する際の、走行可能な水深目安や車両が浸水してしまった際の対処方などを記載したマニュアルになります。車両が水没で故障することを防ぐためには、エンジンをかけられないよう、スペアキーを含む鍵の一括保管も大切です。愛媛主管支店では、安全指導員研修を定期的に開催し、YAW愛媛工場と協力して実車での訓練を実施しています。

マニュアルはOneNecoのBCPポータルからご確認いただけます。※社用PCからご覧ください。

OneNeco>BCPポータル>自然災害の手引き(台風・大雨・大雪版)>01.台風への警戒と注意事項>トラック防災ガイドマニュアル(中四国地域統括・YAW提供)

 

 

インタビュアー

最後に、全国の社員にメッセージをお願いします!

 

山崎マネージャー

災害はいつ起こるか分かりません。何も起こらないことが幸いと考え、少しでも危険があれば、当事者意識をもって訓練を行うことが大切です。常に「イレギュラーを想定して訓練を重ねることでレギュラーに変える」。これにより本当の非常事態にも落ち着いて行動することができます。また、訓練は車両退避だけではありません。集配や輸送パートナーとも連携し、災害時のレポートラインの策定、実践、見直しも必要です。とにかく訓練を重ね、ほころびがあったら都度直し、継続することです。何よりも大切なのは社員の命です。現場では自分で判断せずに、少しでも迷うことがあれば所長に判断をあおぐこと、無理をしないことをお願いします。

中四国統括 安全・コンプライアンス担当マネージャー 合田 敏和さん

社員の命と、お客さまから求められている社会的インフラとしての役割。どちらも大切ですが、まずは社員を守ることが一番です。現場の社員は、大雨や台風のときでもインフラを守ろうと出勤して仕事をしようとすることが多いので、地域統括としては「止める」判断も含め、早い決断が求められます。そのために、に現場の状況を把握するよう努めています。「過去に被害がなかったから、今後も大丈夫」という考えは通用しません。訓練も一過性のものではなく、継続して行うことが大切だと考えています。

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